知っているようで知らない酵素のはたらき
最近、ダイエットや美容の話題で注目を浴びている酵素ですが、そもそも酵素とはどんなものなのでしょうか?今回は知っているようで知らない酵素についてのお話です。
サプリメントとしてのイメージの強い酵素ですが、実は単に健康に良い物というわけではなく我々生物が生きていくためには欠かせないものなのです。生物が行う消化、吸収、排泄、運動、呼吸、思考にいたるまであらゆる生命活動は化学反応によって行われています。酵素はそれらの化学反応を引き起こすために必要なもので、酵素がなければ我々は生命活動を行うことはできないのです。酵素は化学反応を触媒することでその反応を促進します。現在発見されている酵素は数千種類とも言われていますが、酵素は決められた一種類の物質としか結合できず、また、同じ物質と結合する酵素でも種類毎に決められた一種類の反応しか促進できません。この酵素と結合する物質のことを基質といいます。酵素はタンパク質でできており高温、低、酸性、アルカリ性などの過激な条件では壊れてしまうのも特徴です。
体内で働く酵素には、消化酵素と代謝酵素の2種類があります。消化酵素は唾液・胃液・膵液・腸液などに含まれており、食べ物を栄養素に分解します。代謝酵素は食べ物から摂取した栄養やエネルギーをもとに、骨や筋肉・血液の形成、運動、呼吸、思考、老廃物の排出、免疫、新陳代謝などのあらゆる生命活動に関与しています。
体内酵素が不足すると生命活動が滞り、様々な体調変化を引き起こします。 消化酵素が不足すると食べ物の消化吸収が悪くなるだけでなく、血液中の脂肪が分解されにくくなるため、血液がドロドロになり、老化や生活習慣病の原因になります。一方、代謝酵素が不足すると、体内に老廃物が溜まる、肌質が悪くなる、疲れやすくなる、免疫が低下するなどの体調変化が現れます。 最近、疲れやすくなった、皮膚の調子が悪くなった、風邪を引きやすくなったなど、なんとなく体調が優れないと感じる方はもしかしたら酵素が不足しているのかもしれません。
酵素が不足する原因はいくつかあげられますが、いずれも生活習慣が大きくかかわっています。
1. 食生活
高栄養で添加物を多く含む食事を消化するにはたくさんの消化酵素を必要とします。消化酵素が不足しないように体内では優先して消化酵素が作られますが、この状態が慢性的に続くと代謝酵素が不足してしまいます。
2. 睡眠不足
酵素は寝ている間に作られるので、睡眠時間が短くなると必然的に酵素は不足します。仕事や勉強で夜が遅いひとは特に注意が必要です。
3. ストレス
ストレスにより酵素の働きが悪くなります。ストレスをためないことで酵素の無駄遣いを減らすことができます。
日頃から生活習慣に気を付けていても、今の社会システムの中では100%理想的な生活を送るのは難しいかと思います。そこで今注目を浴びているのが「食物酵素」です。食物酵素とはその名の通り食べ物に含まれる酵素のことで、体外から摂取する酵素なので体外酵素とも呼ばれています。
食物酵素は新鮮な肉や魚、野菜、果物、発酵食品など様々な食べものに含まれており、消化酵素と同様に食べ物を分解する作用があります。食物酵素が食べ物の消化を手伝ってくれるので、自身の消化酵素の節約ができます。消化酵素の消費が減れば、その分代謝酵素が作られることになるので体内酵素の不足の改善に役立ちます。もしかして酵素不足かもしれない!?と感じる方は積極的に摂取してはいかがでしょうか。
ただし、食物酵素を摂取するうえで注意してほしい点がいくつかあります。
1. 食物酵素は熱に弱いので肉や魚など加熱が必要な食材はお奨めできません。生の野菜や果物、発酵食品で摂取するのがオススメです。
2. 酵素はとてもデリケートなので、生の食材でも鮮度が悪いと失われてしまいます。できるだけ新鮮なうちに摂取しましょう。
3. 酵素を十分に働かせるためにはビタミンやミネラルも必要です。バランスのよい食事を心掛けましょう。
とはいえ、なかなかそこまで厳格な食事管理はできないよ!という方は、サプリメントで摂取するのもいいと思いますので、ぜひ一度薬局にてご相談ください。