絶対になりたくない感染症「感染性胃腸炎」
日が短くなり冬の訪れを感じるようになりました。冬は風邪をはじめ様々な感染症が流行る季節ですが、本日はその中の一つ感染性胃腸炎を引き起こす「ノロウイルス」についてのお話です。
ノロウイルスは感染すると感染性胃腸炎を引き起こします。潜伏期間は1日~2日で、初期症状は微熱や胃の不快感とされていますが、初期症状がなく突然発症することも多い疾患です。
主な症状として38度程度の発熱、おう吐、下痢があげられます。初めは胃の不快感やチクチクとした痛みがあり、それが吐き気に変わります。その後下痢が起こるとされており、激しい吐き気と下痢に同時に襲われる恐ろしい感染症です。
通常は数日間で回復することが多いのですが、免疫力の低い乳幼児やお年寄りの場合は重症化することがあるので注意が必要です。重症化すると脱水症状やけいれんを引き起こすこともあります。
ノロウイルスは経口により感染します。感染経路は大きく分けて、ウイルスを保有する飲食物を摂取して感染する場合と、感染者から感染する場合の二つがあげられます。
ノロウイルスを保有する食材として代表的なものに二枚貝があります。特に牡蠣の旬を迎える11月~12月にかけて感染者が増加する傾向にあります。
ヒトからヒトへ感染する場合は、感染者の吐しゃ物や糞便が乾燥し舞い上がったウイルスを吸い込むことで感染します。
ノロウイルスは感染力が強く、10~100個程度のウイルスが体内に侵入するだけで感染するといわれています。また、生命力も強く体外でも2週間ほど感染力を維持します。そのため、感染者の吐しゃ物や糞便に直接触れていなくても、感染者の使用したあとのトイレや食器を消毒が不十分なまま使用するだけでも感染します。
ノロウイルスによる感染症は特に有効な治療方法はないですが、数日で自然と治ります。ただ、吐き気、下痢、発熱が同時に襲ってくるのでかなりしんどい病気です。体力を無駄に消耗しないようゆっくり休むことが大切です。対処療法として、吐き気止めや下痢止めを使用することもありますが無理に止めるとウイルスが体内に留まるのを助長するので注意が必要です。
ノロウイルスに感染してしまったら、安静にして水分補給をしましょう。冷たいものや、一度に沢山水分を摂取する行為は胃への刺激となるので注意しましょう。
食事は無理に摂ると悪化するのでよくなるまでは絶食です。少し良くなったからと言って油断して食事をすると間違いなく吐き気が襲ってくるので、消化の良いものを少量から食べるようにし、徐々に通常の食事に戻しましょう。
ノロウイルス対策は有効な治療法がないので、とにかく感染予防が大切です。特に一緒に暮らしている人や看病している人への感染リスクが高くなるので予防のポイントを押さえて感染が拡大しないようにしましょう。
ノロウイルスは口から体内に入るのでとにかくウイルスが口に入らないようにすることが重要です。では具体的な予防方法をみてみましょう。
- 食材はしっかり加熱する。ノロウイルスは中心温度が85~90℃で90秒以上加熱すると死滅します。ノロウイルスによる汚染の恐れがある食材はできるだけ生食は避け、中心部まで十分加熱処理したものを提供しましょう。
- 次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。ノロウイルスの消毒には次亜塩素酸ナトリウムが効果的です。アルコールは効果がないので注意しましょう。トイレやドアノブ、調理場、食器など共有するものから二次感染することも多いのでしっかり消毒しましょう。
- 手洗いを徹底する。ノロウイルスには、アルコール消毒は効果がないので、しっかりと手を洗うことが重要です。ノロウイルスは非常に小さく手のしわに入り込むため丁寧に洗い、しっかりと流水で流しましょう。
- 汚物の処理は厳重に行う。 ノロウイルスは感染者の吐しゃ物や糞便が乾燥することで空気中に飛散し、二次感染を起こします。感染者が吐いた場合には迅速かつ正しい方法での汚物の処理が求められます。
冬は様々な感染症が流行します。ノロウイルスに限らず、感染症では感染を拡大させないことが大切です。また万が一感染してしまった場合は人に移さないよう気をつけなければなりません。健康で楽しく冬を過ごすためにも正しい知識をもって病気の予防に努めてくださいね。